感染力が強く致死性の高い「カラムナリス症」の症状と治療に必要な薬と対処方法

このページでは、ラミレジィに感染すると致死率が高い「カラムナリス症」の症状と治療方法を掲載します。

カラムナリス症は「フレキシバクター・カラムナリス」と呼ばれる細菌感染によって引き起こされる病気です。この細菌は最初に体の粘膜に感染し、症状が進むとヒレの部分から溶けるようにして浸食を進め、最終的に鰓への浸食による酸欠、体内までの浸食による衰弱によって斃死が起きる病気となります。

この細菌は基本的にどこにでも存在する細菌の仲間で、水槽内でも普段は食べ残された餌などの分解に役立ってくれる性質を持ちます。しかし、ラミレジィがストレスや外傷などの原因で免疫力が低下していると発病する可能性が高くなります。

カラムナリス症が発生が多いパターンとして、ラミレジィを飼育している水槽に新しい魚などを追加した場合です。このような場合は水槽内にほとんど存在しなかった病原体を沢山持ち込む危険性があり、追加した魚などと一緒にラミレジィも感染する危険性があります。

熱帯魚の飼育を始めたばかりの初心者が、新しく魚を買ってきて水槽に入れたら、元々飼育していた元気な魚たちも一緒に全滅してしまった…と言ったケースの多くはこのカラムナリス症が原因です。アクアリストなら、誰でも1度は経験する事のある苦い経験と言えるでしょう。

新しい熱帯魚やエビなどを水槽に導入する場合、購入から少なくとも1週間は別の水槽でトリートメントと呼ばれる検疫作業をしてから、メインの水槽へ移動するのが望ましいと言えます。面倒な作業だと思われるかもしれませんが、大切な愛魚たちを守るためには行って頂きたい予防処置です。

ちなみにカラムナリス症の症状を写真で撮影したいのですが、このサイトを作っている著者の経営するオオツカ熱帯魚では、自ら繁殖されたラミレジィのカラムナリス病を20年以上も目にしていません。ラミレジィへの発病は個体の衰弱や新しい魚の導入など、感染源の持ち込みなどが無い限り、稀な病気であることもお伝えしておきます。

カラムナリス症の病状について

このカラムナリス症は尾ビレから浸食が進行するケースが多いため、「尾ぐされ病」や「鰭ぐされ病」と呼ばれることも多い病気です。感染すると、魚のヒレがやや濁ったように見える初期症状が現れます。

さらに症状が進むとヒレの縁が白くなり、次第に固い軟条の部分を残して鰭が溶けるようにして無くなっていきます。鰭の浸食から体の部分まで進むと、体も溶けるように浸食されて次第に死に至るのが一般的な症状です。

カラムナリス症は非常に進行速度が高く、特に水温が高い環境下では1日の間に大きく症状が進むケースも少なくありません。そのため、治療は早期発見が治癒率に大きく関わります。体まで浸食が進んでしまった場合、すでに助からないケースも多いため、少なくとも鰭の縁が白くなる程度の症状から治療するのが完治させる大切なポイントになります。

また、カラムナリス菌の感染によって腐った患部にカビが生える「水カビ病」も併発することも多いのが特徴です。そのため、カラムナリス症の治療は水カビ病の治療と併用して行うのが理想と言えます。

カラムナリス症の治療方法

カラムナリス症の治療は塩分に対しても弱い性質がある為に塩水浴が効果的です。しかし、筆者の経験上ではラミレジィはあまり塩分に強い熱帯魚ではないので塩水浴はお勧めしません。

この病気の治療には、基本的に細菌感染症に効果のある魚病薬を使います。色素系のメチレンブルーやマラカイトグリーン、抗菌薬のオキソリン酸などを主成分とした魚病薬が一般的です。

オキソリン酸は無色で水草にも害を与えない為、使いやすい魚病薬です。製品としては、グリーンFゴールドリキッドや観パラDなどが該当します。ラミレジィは薬剤耐性がそれほど弱い熱帯魚では無いので、規定量の使用で問題なく使えます。但しpH5.0以下の環境で使用すると、成分が析出して白濁が生じることがあるので使用しない方が賢明です。


カラムナリス症の治療は早期発見が第一です。
進行が非常に速いので、万が一の時に備えて
魚病薬を用意しておきましょう。

メチレンブルーやマラカイトグリーンと言った色素系の魚病薬は光によって分解されてしまう性質が強く、効果が安定しない欠点を併せ持ちます。またソイルや活性炭などを使っている場合も無効化されてしまうので、使うことが難しい面もあります。安定性ではオキソリン酸のほうが高くバクテリアへの影響も低いので、色素系よりもお勧めできます。

また、カラムナリス菌はpH5.0以下の環境では生存できないとも言われていますので、低いpHに強いラミレジィの場合はオキソリン酸の治療薬を使わない場合に限り、pH降下剤などを利用してpHを下げてしまうのも有効な治療方法になります。(但し、急激なpHの低下によるpHショックには注意が必要です)

最後に一般的な方法ではありませんが、水槽へ殺菌灯の設置もカラムナリス症の予防には有効な手段の一つです。完全に感染を防ぎ、治療できるほどの効果はありませんが、確実に発生するリスクを減らすことは可能です。高価な装置でランプの寿命の問題もあり、扱いにくい部分もありますが、病気の予防には殺菌灯は非常に有効な手段と言えます。


殺菌灯は高価な器具ですが、価格に見合った
病気から魚たちを守る優れた製品です。

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